第5章 新しい書店のかたち―自分たちの書店「B&B」を始めてわかったこと
p.138~176
なぜ、B&Bをつくったか
特徴
本屋の中でビールを売っている
毎日トークショーなどのイベントを開催している
本屋に行くことが好き
本に関する仕事をしていて、いつかは本屋をやりたいと考えていた
一緒に開業した人との感覚が似ていた
紙の本、本屋が好きで、電子書籍も使いこなしていた
自分が都合のいいときに都合のいいフォーマットト情報がほしいだけであって、紙もデジタルもどちらでもいい
紙も電子書籍も両方あっていいと思う
「街の本屋」へのこだわり
書店業界 → 一部の大型店だけが新規出店して、中小規模の書店は数を減らし続けている
理由は、中小規模だと他の書店やAmazonとの差別化が難しくなっている
ジュンク堂 → ここに行けば全部ある、網羅性
配本の難しさ、取次会社を通して本を仕入れる
なので、配本のパターンに品揃えが大きく左右される
自分たちで労力を使わない限り、限られた配本パターン(ベストセラー、雑誌)が中心とならざるを得ない
そんな中で、街の本屋をやるには、書店の良さがどこにあるかをわかって、意図的にそれを生み出していかないといけない
なぜ街の本屋にこだわるのか?
わざわざ行くところではないほうがいいと考えているから
本屋は人の日常生活の中にあるべき場所
想定外の情報との出会いがあって、日常を豊かにすることができる場所が生活圏内にあることは、とても幸せなこと
買い物の途中で小説を買ったり、飲みに行く前にちょっと早く出て技術の解説書を買ったり
想定外なもの、でも本当は自分が欲しかったものと出会える空間が日常生活の中にあってほしい
流通の事情もあるから、そういう本屋がどうしたら成り立つのかにあえて挑戦したい
B&Bでやろうとしているこれからの街の本屋というコンセプト
用事でついでに寄ることができて、待ち合わせしていたら「なんとなく、この本買っちゃった」というような場ができるといい
書店の新しいロールモデルを目指す
カルチャー的に商品をセレクトした「セレクトショップをやっている」と誤解されるが、ベーシックな本をいっぱい置いている
日本/海外文学、自然科学、ノンフィクション、漫画、抑えるべき名著、最近のベストセラー、雑誌などなど
ある特定のこだわりに基づいておしゃれな本だけを並べているわけではない
日常生活のなかにあって5分くらいの隙間時間にも行ける、毎日寄れる場所を作る
書店という商売に付いては「ど素人」であることを自覚しているからこそ、「ビールを飲みながら、本を買いたい」という発想も実現できる
「飲んだあと本屋に行くと、大人買いみたいに、たくさん本を買っちゃうから、あれができたらいいな」
「トークショーをいろいろなところでやっているけど、話を聞くと本を買いたくなるから、本屋で毎日トークショーをやっていたらいいな」
という素人的欲望を、現実的なところから一つひとつやってみている
利益を挙げるためには、本だけを売っていてはなかなか立ち行かない側面
ビール、イベントの利益が本屋としての利益だけでは足りない部分を支えてくれる
だからこそ、こういう工夫をすれば成り立つのではないかということを実証したい
書店をやる以上、書店員としての基本的な知識やスキルは絶対になければならない
しかし、書店員だけでやってしまうと既存の書店の世界を超えられない
だから、ど素人がやりたいことをいって、その実現性とのせめぎあいの場がB&B